「・・・っん・・・・・・」
カーテンの隙間から漏れてくる朝の光。
その眩しさに一瞬顔を顰め、エドは身体を起こす。
「ふぁ・・・・・・」
昨夜も遅くまで調べ物をしていたため、まだ少し寝足りない。
どうせここ数日は書類を捲る日々を送る事になるのだから、と、エドは朝寝坊を決め込んだ。
アルフォンスもそんな兄の性格を判っていてか、一人でさっさと出かけてしまったようだ。
サイドテーブルには朝食のトレイが載っている。
すっかり冷めてしまったココアを飲みながら、エドは暫し空想に浸った。
(―――大佐、今頃何してるんだろ・・・)
あの忙しい大佐の事だ、自分のようにのんびり床の中、では無いだろう。
また軍法会議にでも出席しているのか、山のような仕事をこなしているのか。
それとも、休暇でもとってどこかの女性とデートだろうか。
―――チクッ。
そこまで考えた時、エドの胸に鋭い痛みが走った。
思わずその胸を押さえて呻く。
(―――別に、大佐が誰と何処にいようが・・・俺には関係ないじゃないか・・・)
向こうはそんな事、今日の昼食のメニューよりも気にしていないだろう。
こんな想いを抱いているのは、自分の方なのだから・・・。
そう考えて無理矢理痛みを抑えようとすると、痛みは寧ろ酷くなって涙を誘う。
泣くものか、あんな奴の為に泣く事なんて無い、と必死で涙を堪えていたその時。
―――コンコン。
部屋に、ノックの音が響いた。
続いて、エドがずっと求めていた声。
「鋼の?居るのだろう?」
カチャ、とノブを回して入ってきたロイは、明らかに休日の時の服装をしていた。
「・・・・・・大佐・・・」
何しに来たんだよ、と、いつものように憎まれ口を叩こうとしたが、声が出ない。
これ以上喋ったら、泣いてしまいそうだった。
「やっと休日が取れたものでね。これからデートなのだよ」
「・・・あっそ・・・・・・勝手に行ってくれば?なんでいちいち俺のトコに報告に
来るわけ?嫌味?自慢?」
さっきより酷くなった胸の痛みと、今にも零れそうな涙は隠して。
精一杯の強がりで、捲くし立てた。
「酷いな、鋼の」
ロイは笑って、エドに手を差し伸べる。
そして、エドの手に軽いキスを与えた。
「た・・・大佐!?」
心臓が張り裂けそうに高鳴る。
「私は、君をデートの相手に誘いに来たのだが・・・不満だったかね、エド?」
エド、と呼ばれたのは初めてだった。
「大・・・佐ぁ・・・・・・」
「おっと・・・その前にする事があったのを忘れていたよ」
ロイはエドを抱き抱えて、自分と同じ目線にまで持ち上げた。
「おはよう、エドワード」
続いて、優しくて暖かい、母さんにも似たキス。
「た・・・、ロイ・・・・・・」
「さぁエド、行こうか?今日は君も休日だ。私が今そう決めた」
「勝手に決めんなよな!」
憎まれ口を叩いてはいても、その手は確りとロイの手を握っている。
「何処へ行こうか?」
「何処でも大佐の好きなトコでいーじゃん!」
ぱたん。
エドの部屋の扉が閉まった。

+++++

書いてみました。
反響が怖いです・・・。
何か思うところある人は家マークから飛んでメール下さい。(苦笑)

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